辺野古移転のトリガー 経済振興策の目玉先週のコラムで沖縄県浦添市の米海兵隊兵站施設、キャンプ・キンザーにカジノを設置する構想があると言及したところ、大きな反響があった。
詳細を述べたい。
施設面積2738平方キロメートル、そのうち約90%が私有地であり、残りは国有地。
キャンプ・キンザーの一部、第5ゲート付近が来年4月に返還される予定だ。
そこにカジノ併設ホテルを建設する計画の前提は、将来、全面返還される米軍普天間飛行場(宜野湾市)の跡地に統合型リゾートを建設するということである。
いわば、それまでの“つなぎ”ということだ。
だが、2020年東京五輪開催を念頭に、本土からだけでなくアジア諸国からの観光客誘致目当ての計画である。
現地の消息筋が、キャンプ・キンザー付近に巨大なショッピングセンターを建設するため住宅建設大手が早くも造成に着手したと伝えてきた。
そもそも、沖縄カジノ構想が浮上した背景には、以下のような理由がある。
仲井真弘多知事が普天間飛行場移設先の名護市辺野古沿岸部の埋め立てを許可する条件の1つとして、沖縄本島北部地域振興策を挙げており、官邸がその目玉としてひねり出した案であった。
そのために必要な法整備である。
超党派の国際観光産業振興議員連盟=カジノ議連(会長・細田博之自民党幹事長代行)は、今臨時国会にカジノを合法化して解禁するための特定複合観光施設設備推進法=カジノ推進法案を提出し、来年の通常国会での成立を目指してきた。
ところが、連立与党の公明党(山口那津男代表)が支持母体の創価学会婦人部の反対が強く、一時は法案提出見送りも検討したが、会期末前日に自民・維新・生活各党の10議員が共同提出した。
それはともかく、推進勢力の各グループは競い合いながら地歩を固めつつある。
例えば、本土資本のセガサミー・ホールディングスが地元の国場組、電通がラスベガスの世界最大級のシーザーズパレス、吉本興業が地元の政策研究所と、それぞれタイアップして推進しているというのだ。
そこに当該の各自治体首長・同経験者、沖縄選出の国会議員・元議員、そしてゼネコン、マリコン、地元建設業者などが、まさに入り乱れて巨額なビジネスチャンスをうかがっているというのである。
仲井真知事は4日の県議会で、埋め立て申請への判断時期を今月末以降と言明した。
辺野古移転のトリガーとなるのか。(ジャーナリスト・歳川隆雄)
zakzak
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