アフリカ中部コンゴ(旧ザイール)の首都キンシャサで6月、日本大使館が半焼した火災で、警視庁は2日、現住建造物等放火の疑いで、当時大使館に勤務していた3等書記官山田真也容疑者(30)を逮捕した。
国内の捜査当局が在外公館で起きた事件の捜査に当たるのは異例。
警視庁は、山田容疑者が大使館の資金を着服し、証拠隠滅を図るため放火したとみて調べている。
捜査関係者によると、山田容疑者は現地時間の6月20日午後7時半ごろ、キンシャサのオフィス街にある4階建てビル3、4階に入っていた日本大使館で、大使や参事官の公室がある4階にガソリンをまいて放火した疑いが持たれている。
4階部分はほぼ全焼したが、けが人はなかった。
火災後、外務省から被害相談を受け、警視庁は現地に捜査員を派遣し、出火当時の状況を捜査していた。
在外公館に対する捜査はウィーン条約で「不可侵」が規定されているため困難な実情がある。
このため、警視庁が国内事件と同様に捜査していた。
大使館員らの出入りの記録から、火災の当日、大使館を最後に出たのが山田容疑者だったことが判明。
山田容疑者が住んでいた部屋からガソリンが入っていたとみられるポリタンクが見つかった。
焼け跡から見つかった金庫が空になり、現地職員の給料など日本円で約2200万円相当の公金がなくなっていた。
警視庁捜査1課は捜査本部を設置し、山田容疑者が公金着服を隠す目的で放火したとみて調べている。
捜査本部によると、山田容疑者は「私は放火をしていません」と容疑を否認している。
4階には職員の政務室があり、中央部分が特に激しく燃えていたが、金庫は別の場所にあった。
外務省によると金庫の鍵は主に山田容疑者が管理。
山田容疑者は複数の外務省職員から借金をしていたほか、現地のカジノに出入りしていた。
同省の聴取に放火、公金着服いずれも否認したという。
山田容疑者は火災後に帰国し、書記官の肩書のまま外務省で勤務。
同省は8月、山田容疑者が放火した疑いがあるとして警視庁に告訴していた。
共同通信が入手した地元メディア撮影の映像には、日本大使館が入居していた4階の部屋が炎に包まれ、激しく燃える様子が映っている。
付近で白いシャツ姿の山田容疑者が、別の日本人の大使館職員と言葉を交わす姿も捉えられている。
在コンゴ大使館は当時、書記官ら約20人が勤務し、うち半数は現地スタッフ。
大使館は現在はマンションの一室に移転している。
nikkansports.com
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