産経ニュース
自民党は4日、カジノを中心とした複合型リゾート施設(IR)の整備を政府に促す推進法案について、今国会での成立を見送る方針を決めた。
公明党や民主党が治安悪化などの懸念を理由に成立に慎重姿勢を崩さないためで、衆院で継続審議扱いとする。
集団的自衛権の行使容認をめぐり協議を進めている公明党に配慮する狙いもある。
推進法案は、IRの整備推進が地域経済の活性化や財政改善につながるとして、法案成立から1年以内に政府が施設整備に向けた関連法を定めることを義務付ける内容。
カジノの合法化を目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟」が策定、自民党と日本維新の会、生活の党が昨年12月の臨時国会に共同提出した。
自民党は今国会中の法案の成立を目指し、10日の衆院内閣委理事懇談会で法案の審議入りを提案する方針だ。
安倍晋三首相も5月30日にシンガポールでカジノを視察し「成長戦略の目玉になる」とカジノ合法化に強い意欲を示していた。一方、公明党は「私は慎重」(井上義久幹事長)という意見が多く、民主党内も賛否が割れている。
法案を審議する内閣委員会のうち、参院の委員長はカジノ合法化に反対する日本教職員組合(日教組)出身の水岡俊一元首相補佐官(民主)が務めている。
自民党からも、公明党が集団的自衛権の行使容認に慎重な姿勢を崩さないことから、「公明党が嫌がる2つを同時並行でやることは控えるべきだ」(閣僚経験者)などとして、法案の成立を急ぐべきではないとの慎重論が出ていた。
6月22日までの今国会の会期を延長しない方針でもあるため、「今国会は衆院で審議入りだけ済ませ、法案を参院に送らずに廃案を避ける」(同党国対幹部)方向で調整している。
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