遊技業界における来年の主な関心事に、消費税増税、ECO遊技機(封入式パチンコ)、カジノ解禁に向けた動きの3つが挙げられる。
とりわけカジノ解禁については、業界が直接関与しない案件だけに、その動向は気掛かりだ。
去る11月に行われた超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)の第21回総会でも、パチンコに言及した質疑が出た。
「パチンコ、とくに換金の三店方式をどう変えて法的整合性を確保すべきか」との内容だが、これに対する執行部側の回答は「パチンコはあくまで賭博でなく遊技との位置づけ。
今すぐに、カジノと同じ俎上(そじょう)で議論することは妥当ではない」。
しかしながら、「特定複合観光施設区域整備推進法案」、いわゆるカジノ法案について成立に向けた審議が行われる背景で、これとパチンコの比較は免れない。
現に、WEB上ではカジノとパチンコを比較したり、同一視した記事が散見されるようになった。
また、パチンコホールとカジノでは訪れる顧客の志向が異なることから、市場の奪い合いなど直接的なマイナスは考えにくいものの、制度的に比較されるという間接的問題が生じてくる。
例えば、司法上の判断ではなく、行政解釈に依拠する三店方式などに関しては、これをクリアに説明できる理論や新たな制度の構築がこれまで以上に求められる可能性も指摘される。
そのようななか、カジノ法案成立の動きと連動してパチンコ業法の制定をもくろむ動きもある。
ビジネスとして閉塞(へいそく)感漂う現状打破に向けた試み、さらに国民の認識もシンプルになるとの認識がそのベースにあるようだが、ただ、これについては現在の風営法下での営業を望む声も強く、可能性の一つとしてみるにとどめたい。
カジノ法案提出から約2週間後の18日には、IR議連が第22回総会を開催。
ここではパチンコに触れられることはなかったが、来年の通常国会での同法案成立に向けたスケジュール感として、5月の連休前をめどに掲げた。
これに向けて各党内での議論を進め、日本が目指すIRとはどういうものなのか国民への理解を仰ぎつつ、法案を成立させたいという。
来年は遊技業界を取り巻く環境が目に見えて変化する。
さらに、超少子高齢化社会も目前に迫っている。
大衆娯楽として持続可能な成長を実現するためにも、遊技産業そのものの生き残りに視点を置いた取り組みへの注力が求められる。
SankeiBiz
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