経済活性化の起爆剤としてカジノ誘致を目指す大阪府が、米ラスベガスに本拠を置く運営企業シーザーズ・エンターテインメント やゲンティン・シンガポール と計画立案で協議し、予定投資額を5000億円規模と見積もっていることが分かった。
カジノ法案が成立し誘致に成功した場合、この2社を含む国際的な企業から運営者が選ばれる可能性が高い。
大阪府の松井一郎知事はブルームバーグとのインタビューに応じ、カジノの候補地について、大阪市の橋下徹市長とも話し合った結果、市の保有する湾岸の夢洲(ゆめしま)を想定していると述べた。
関連雇用創出は7万人超と見積もり、「投資効果は計り知れない」と強調した。
松井知事は、誘致に成功した場合の事業運営者については、「日本は今まで統合型リゾート事業をやったことがなかった。経験があるところがいいプランを出してくれるだろう」と述べ、海外企業を中心に選定する考えを示した。
ゲンティンやシーザーズのほかに、米MGMリゾート・インターナショナル とも近く協議するという。
同知事は、カジノ誘致により「アジアの旅行者の一番行きたい都市、大阪をつくっていきたい」と述べた。
歴史や伝統文化の息づく京都、奈良に隣接し、独自の食文化を持つ「天下の台所」大阪をさらに魅力ある観光拠点にする狙い。
東京五輪開催で外国人旅行客の大幅増が見込める2020年開業に照準を定めている。
大阪府は都道府県別のGDPで第2位だが、一極集中で首位に立つ東京都の4割程度と水をあけられている。
橋下府知事時代からの歳出削減で12年度まで5年連続で黒字を維持し財政再建にめどをつけ、経済活性化へ舵を切り始めた。
一方、カジノ合法化に向けた関連法案は昨年末、国会に提出されており、超党派の「国際観光産業振興議員連盟」は24日から始まる通常国会での法案成立を目指している。
カジノ運営3社シーザーズはラスベガスを基盤にカジノリゾートを手掛けるゲーム会社で、国際開発部門のトップ、スティーブン・タイト氏は取材に対し、府の関係者と会談したことを認め、「大阪湾岸の候補地の幾つかを視察した」とも述べた。
同氏はかねて、将来的な提携候補としてセガサミーホールディングス やコナミ と協議していることを明らかにしていた。
世界中でカジノ経営を手掛けるリゾート開発会社のゲンティン・シンガポールのタン・ヒー・テック社長には21日、電話を掛けたが、回答は得られなかった。
またカジノリゾート経営会社のMGMリゾート・インターナショナル副社長のアラン・フェルドマン氏にも電話をかけたり、電子メールを送ったが、営業時間外のため回答は得られなかった。
ビル・ホーンバックル社長はかねて、東京と大阪へのカジノ建設に関心を示し、「数十億ドル」を投資する考えを明らかにしていた。
経済効果大阪府の資料によると、カジノは世界120か国で合法化されており、カジノを含む統合型リゾート(IR)は観光振興や地域活性化、雇用創出、税収増大に寄与している。
シンガポールが10年に周辺国の発展に伴う観光産業の低迷に歯止めをかけるため、2つのIRを開業。
GDPで6%増に相当する経済効果を生んだという。
こうした経済効果を狙って、日本ではカジノ法案提出の動きを受けて、大阪のほか、東京都や神奈川、千葉、沖縄、和歌山の各県などでもカジノ誘致の検討が進められている。
松井知事は、「大阪は、投資を呼び込むことに失敗してきたので、空き地が多い。東京と比べると圧倒的に土地が安い」と述べ、東京よりも投資コストが安いとのメリットを強調している。
CLSAのアナリストのジェイ・デフィバー氏はリポートで、 大阪のカジノ立地は東京の陰に隠れて見過ごされがちだが、試算では事業収入は年45-50億ドル(4700億-5200億円)と、シンガポールの施設を上回ると指摘。
松井知事は、「その経済効果を最大限府民に還元していくためには、時機を逸することなくタイミングを計ってやりたい」と述べた。
ブルームバーグ
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